建築手法の詳細(資料館棟)
 資料館棟の基礎は花崗岩を使用しており上端の露出部分は水勾配の加工がしてある。
 壁体は煉瓦積みで基礎石の上には上部荷重を分散させるために根積みがイギリス積みで設けてあり、根積み部分の床下換気孔には小規模の陸アーチと便所汲取口には円弧アーチが設けてある。
 外壁は根積み以外の全面がモルタル塗りであるがこれはいつの時点で塗られたものかは明らかではない。内壁も真壁仕上げとしてあるため煉瓦積みは天井裏の露出部分からしか伺うことが出来ない。
 壁体の出隅部分と両側面の中ほどに柱型が設けてあり、軒蛇腹部分は煉瓦を逆段状に積上げたものである。
 玄関上部はチューダーアーチといわれる4中心アーチであり、アーチの頂部には花崗岩の要石とアーチの両端を受けるせり台石がはめ込んである。これら開口部の周囲は突出させ縁取ってアクセントとしている。
 屋根は寄棟で突出部分と西側の半間(0.91m)部分が流れ葺きとしてある。葺材は当初トタン葺きで後に波型スレート葺きとし現在は洋瓦葺きとしている。小屋組は洋小屋組の真束小屋組で東側の壁頂と西側の半間(0.91m)入った部分に敷桁を通して、梁間3間(5.46m)の小屋組をその上に1間(1.82m)毎に配置し、寄棟部分は隅・妻小屋組を架け渡している。勝手口の庇は雲型の腕木を出しその上に逆反りの付いた目板屋根でアスファルト塗りであったが、現在はカラー鉄板葺きになっている。
 玄関出入口は外側に両開扉、内側に腰板付の両引きガラス戸がはめてあり、上部にはファンライト(扇型欄間)が設けてある。
 外壁に設けられた窓は二種類あり、和室などには外側に上部ガラリ付の両開扉と内側に上げ下げ窓が設けてあり、便所には上げ下げ窓が設けてある。白色に塗られたファンライト付の扉やガラリ付の扉、上げ下げ窓などにより、モルタル塗りの単調な壁面に洋風らしさのアクセントになつている。
 内部造作はすべて木造であり壁は土塗りの真壁で炊事場廻りは小屋裏まで達して万が一の延焼を防ぐ対処がしてある。和室の窓部分は繰型のある幅広の額縁を廻しており和洋折衷の意匠がみられる。
 内部の建具は事務室〜和室、押入、廊下などに帯桟付板戸、和室〜和室、和室〜廊下には低腰板付障子、和室〜炊事場には腰障子付板戸などが使用されている
トップページ


inserted by FC2 system